Shanling M9 Plusをオーディオ専門店スタッフがレビューします。最新フラッグシップDACやフルバランス4chアンプ回路を搭載し、メリハリのある明るめのサウンドが特徴のレベルの高いオーディオプレーヤーを詳しくご紹介します。
目次
Shanlingのポータブルプレイヤーとは
M9 Plusの外観と特徴
M9 Plusの音質レビュー
製品仕様
まとめ
Shanling(シャンリン)は30年以上の歴史を持つ中国のオーディオメーカーです。日本ではポータブルオーディオ機器を中心に展開しており、小型USB-DACやポータブルオーディオプレイヤー(DAP)といったジャンルで人気の高いモデルを数多く販売しています。
最近では超小型DAP・M0Proがそのサイズからは想像できないほどの音質と利便性で人気を集めています。
そのShanling製DAPにハイクラスモデルが新たに登場!その名も「M9 Plus」です!
…えっ、それってちょっと前に発売されてなかった?と思った方、半分だけ正解です。実は昨年の1月、当店フジヤエービックと代理店直販サイトだけでほんのわずかだけ販売された特別モデル「M9 -AKM Edition-」(以下「AKM版」)というDAPがあったのですが、
【試聴レビュー】Shanling M9 -AKM Edition-国内少数限定販売!新型DAPの特別限定バージョン登場!
» こちらの記事を見る
今回発売されるのはその進化系モデル・M9 Plusとなります!
ということで、さっそくこのM9 Plusについて詳細と音質レビューをお届けしたいと思います。
まずはパッケージからご紹介しましょう。化粧箱を開けると、そこにはAKM版と同じく重厚感あふれる木製ボックスが収められています。上蓋にはなにやら「35」と記載されたプレートがはめ込まれているようですが…
実はこのM9 Plus、Shanling設立35周年記念モデルとしての側面を持った製品でもあるのです。ちなみにプレートの裏面には回路図のような図が記載されていますが、こちらはまた後ほどご説明することにしましょう。
M9 Plusのパッケージ内容は、本体、マニュアル類、USBケーブル、ディスプレイ保護フィルムとなっています。
こちらがM9 Plus本体です。筐体カラーはAKM版がやや青みがかったグレーだったのに対し、M9 Plusではブラックとなっています。
実際にAKM版と並べてみるとこんな具合です。
幅と厚さ、ディスプレイサイズ(6インチ・2160×1080)は同じですが、M9 Plusの高さはAKM版より5mmほど短い147mmです。重さも379g(AKM版は409g)と軽くなっています。全体的な形状は同じようですが、よく見てみるとM9 Plusの左側面がややくぼんでいることがわかります。
M9 Plusの右側面には、金色のボリュームノブが配置されています。
真ん中にShanlingロゴの刻まれたボリュームノブは電源ボタンも兼ねており、長押しすることで電源ON/OFFとなります。
左側面には「戻る」「再生」「進む」の3つのボタンを配置していますが、AKM版と異なり、ボタンの周辺のみ一段くぼんでいます。
本体上部には3.5mmシングルエンド端子と4,4mmバランス端子の2つのみを配置。
ここで再度、AKM版と並べて見比べてみましょう。
AKM版ではヘッドホンジャック部分が着脱式になっており、ユーザーが2.5mmバランス/3.5mmシングルエンド/3.5mmProバランス/4.4mmバランスの4種類からどれかひとつを選んで装着するという仕様になっていましたが、M9 Plusでは一般的な着脱不可の仕様となりました。
2.5mmと(あまり普及しなかった)3.5mmPro端子がなくなった形ですが、これも時代の流れでしょうか。
本体下部にはmicroSDカードスロットと、Type-CのUSBコネクタを配置しています。
microSDカードスロットには、本体固定のカバーが設けられています。
AKM版のディスプレイには一部のスマートフォンのようなノッチ(切り欠き)があったのですが、このM9 Plusにもそのノッチは受け継がれています。ここには時刻のほか、再生中の音楽ファイルのサンプリングレートや音量、バッテリー残量などが表示されます。
M9 Plusには専用のレザーケースも付属しています。AKM版は背面のみカバーするプロテクタータイプのケースでしたが、M9 Plus版はフルカバータイプのケースです。
ここまでは外見上の違いを中心にお伝えしてきましたが、続いて重要な”中身”の違いにも触れていきましょう。
AKM版はその発売当時、製造工場の火災により世界的に品薄となっていた旭化成エレクトロニクス製のDACチップ・AK4499EQをデュアル搭載していましたが、このM9 Plusでは同じ旭化成エレクトロニクス製の最新フラッグシップDACチップ「AK4499EX」をクワッド(4基)搭載しています。このAK4499EXはデジタル処理用チップ「AK4191EQ」とセットで動作するもので、デジタルセクションとアナログセクションを分離させた”セパレートDAC”となっているため実際の構成は「AK4499EX×4 + AK4191EQ×2」です。
実はパッケージ紹介のところで登場した「35」プレートの裏面は、このDACチップ構成を表したものでした。
さらに日清紡マイクロデバイス製のオペアンプ・MUSES8920と、テキサス・インスツルメンツ製のバッファIC・BUF634Aを組み合わせた”フルバランス4chアンプ回路”を新たに設計し、バランス出力で最大6.0V@32Ω(1125mW)というハイパワーを実現しています。
なお、DAPの心臓部ともいえるSoC(Snapdragon 665)、システムメモリ(8GB)、内蔵ストレージ(256GB)、OSバージョン(Android 10)などはAKM版から変わっていません。
それではいよいよM9 Plusの音質もチェックしたいと思います。組み合わせるイヤホンにはSENNHEISER IE 900を選んでみました。
中高域の押し出し感と低域のパンチが効いた、メリハリのあるややドライで明るめなサウンドです。音の分離感、解像感も非常に高く、音場も左右に充分な広さを感じさせます。
AKM版の音質と比較すると、解像感・分離感は非常に似通っていますが低域の弾力感や明瞭感といった部分はM9 Plusの方がより強く感じられます。また、音場も前後感は同等ですが左右への広がりについてはM9 Plusの方がやや広いようです。もっとも大きな違いはボーカルの表現でしょうか。AKM版では温かみがあり、歌手の情感が充分に再現されているかのような聴こえ方でしたが、M9 Plusではそこがちょっと冷静になったかのように落ち着いて聴こえます。
全体的なトーンはフラットながらボーカルの温度感は持ち合わせているAKM版に対して、全体的にはエネルギッシュながらボーカルはクールさを感じさせるM9 Plusと、どちらも旭化成エレクトロニクス製のフラッグシップDACチップを採用していながらまるで対照的なサウンド傾向になっているのが面白いところです。
DACチップ | AK4499EX×4 + AK4191EQ×2 | システム | オープンAndroid 10 OS |
---|---|---|---|
Bluetoothバージョン | 5 | Bluetooth対応コーデック | Bluetooth送信:LDAC / LHDC / aptX HD / aptX / SBC、Bluetooth受信:LDAC / SBC |
連続再生時間 | シングルエンド:18時間、バランス:11時間、Bluetooth送信:83時間 | 外形寸法 / 重量 | 147mm×82mm×22mm / 379g |
【商品情報】Shanling M9 Plus
» 詳細を見る
ShanlingのハイクラスDAP最新モデル「M9 Plus」は、
・旭化成エレクトロニクス製の最新フラッグシップDACチップ「AK4499EX×4 + AK4191EQ×2」採用
・日清紡マイクロデバイス製オペアンプ・MUSES8920とテキサス・インスツルメンツ製バッファIC・BUF634Aによる”フルバランス4chアンプ回路”搭載
・中高域の押し出し感と低域のパンチが効いた、メリハリのあるややドライで明るめなサウンド
と、AKM版とはまた異なるテイストを持ちつつもよりレベルの高いオーディオプレイヤーに仕上がっています。
Shanling M9 Plusは6月30日発売予定、本日よりご予約受付開始・試聴機の展示も始まりました!全世界999台限定生産ですので、ご予約およびご購入はお早めにどうぞ!