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2023.12.15
専門店・プロレビュー,

DVAS Model2 レビュー | 瞬発力とキレのあるサウンドが味わえるハイクラスヘッドホンパワーアンプ

DVAS Model2 レビュー | 瞬発力とキレのあるサウンドが味わえるハイクラスヘッドホンパワーアンプ

DVAS Model2 をオーディオ専門店スタッフがレビューします。ボリューム機構なし、入出力ともバランス接続のみという音質最優先の思い切った仕様とユニークな設計で駆動力の高さが際立つハイクラスヘッドホンパワーアンプを詳しく紹介します。

フジヤエービック店舗イメージ
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DVASとは

DVAS(ディーバス)は、大手電機メーカーで長年にわたりDVDプレイヤー開発やTVの音響設計に携わってきた桑原光孝氏が2022年に設立した日本のオーディオブランドです。ちょっと変わったこのブランド名は「Deep Valley Audio Systems」の略称で、これは会社の所在地である埼玉県”深谷”市にちなんだものとのこと。そんなユニークなブランドが作り出した製品もまたユニーク、なんとヘッドホン専用のバランス接続アナログパワーアンプです!

DVAS Model2の全体画像
Model2

今回はこちらの「Model2」について、詳細と音質レビューをお届けします。

Model2の外観と特徴

フロントパネル

まずはModel2の外観からご紹介しましょう。フロントパネルには電源ボタンと「PROTECTION」と書かれたランプ、そしてXLR3pinx2とXLR4pinのヘッドホン用バランスジャックが備えられているだけのシンプルな構成です。

大きさは幅430mm・奥行き330mm・高さ112mm、重さ17kgのいわゆるフルサイズアンプとなっています。

Model2のフロントパネルの画像
Model2のフロントパネル

Model2ではDC漏れや過電流負荷などの異常が発生した場合、電源ボタン横のPROTECTIONランプが点灯しアンプ本体とヘッドホンを守る保護回路が作動するようになっています。

Model2の電源ボタンとPROTECTIONランプ部分の画像
電源ボタンとPROTECTIONランプ

XLR4pinジャックをはさむようにXLR3pinの左右ジャックが配置されているのも面白いところです。

Model2のXLR3pinジャックとXLR4pinジャック部分の画像
XLR3pinジャック(中央)とXLR4pinジャック(左右)

1ヶ所だけ斜めにカットされた部分にはブランドロゴが刻印されています。

DVASブランドロゴの画像
DVASブランドロゴ

ボリューム調整機能は非搭載

このModel2はヘッドホン用の”パワーアンプ”ということで、一般的なヘッドホンアンプにはつきもののボリューム調整機能は一切ありません。音量調節はプレイヤーやDACといった入力機器側で行うことになります。ですので、間違って固定出力の機器を接続したままご使用にならないよう、充分ご注意ください。

一見なんの飾りもないシンプル過ぎるデザインのように見えますが、フロントパネルの左右に開けられた穴がサイドパネルと一体化して角度によっては非常に複雑な形状のようにも見えるという一面も持っています。

Model2のサイド部分の画像
実は複雑なデザイン

サイドパネル

こちらがサイドパネル…というよりもこの厚みはサイドブロックと呼ぶべきですね。実はこのサイドブロックには、内部でアンプ基板などを固定するベースの役割を果たしているほか、放熱のためのヒートシンクとしての役割も果たしています。

Model2のアルミ削り出しのサイドブロックの画像
アルミ削り出しのサイドブロック

背面パネル

こちらがModel2の背面です。中央に電源インレット、左右に入力用のXLR3pinジャックを配したのみで、この製品の仕様上の割り切りの良さがうかがえます。

Model2のリアパネルの画像
背面は電源インレットとバランス入力端子のみ

電源回路・構造

と、ここまでご紹介した仕様や外観などからもかなり個性の強い製品であるModel2ですが、オーディオの要ともいえる電源回路の構成も非常に特徴的なものとなっています。

制御回路専用トランス×1(10VA)、電圧増幅段トロイダルトランス(50VA)×2、電流増幅段トロイダルトランス(80VA)×2の合計5個のマルチ電源トランス方式を採用するという大変なこだわりで、下の写真が実装されている様子なのですが…実はこれ、「Model2を逆さにして本体側のフレームを外した状態」で撮影しています。なんとこれらのトランスや制御回路は、厚さ10mmの天板に取り付けられた”天吊り型”構造となっているのです。

Model2のトランス群の画像
天板に取り付けられたトランス群(メーカー提供)

そのため、通常であればさまざまなパーツが固定されているはずの本体の底面には、放熱などのために開口部が大きく設けられており、通気性を高めるためメッシュでカバーされています。

こちらから見ると、たしかにトランスなどが天板から吊り下げられている様子がよくわかります。

Model2の本体底面
本体底面はメッシュで通気性アップ

付属品

なお、付属品はマニュアルと電源ケーブルのみとなっていますので、XLRケーブルは別途ご用意ください。

Model2の音質レビュー

それではModel2の音質を確かめてみたいと思います。これまでご紹介したとおりこのModel2はボリューム機構を持たないアンプですので、今回はハイクラスDACのロングセラーモデル・Chord Electronics DAVEを組み合わせ、DAVE側で音量を調節しながら試聴します。

ヘッドホンにはDan Clark Audioの開放型・EXPANSEを選んでみました。EXPANSEはコンパクトな見た目に反して、しっかり鳴らすには充分なパワーを必要とするヘッドホンですがはたしてどうでしょうか。

DVAS Model2・Chord Electronics DAVE・Dan Clark Audio EXPANSEを組み合わせ

Model2とDAVE、EXPANSEの画像
Model2とDAVE、EXPANSE

【商品情報】Chord Electronics DAVE

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Chord Electronics DAVE

【商品情報】Dan Clark Audio EXPANSE

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Dan Clark Audio EXPANSE

Chord特有の解像度の高さに、歯切れの良さと透明感が際立つサウンドがベースとなっていますが、そこに若干の”生々しさ”が加わったような印象を受けます。

基本的には上流(今回でいえばDAVE)のキャラクターを充分に活かす傾向かと思いますが、そこにModel2の持つ駆動力の高さが加わることでサウンドに瞬発力が生まれているように感じました。特にEXPANSEを鳴らすうえでここまでの”キレ”を味わえるアンプというのはなかなかお目にかかれないのではないでしょうか。

いろいろと音源を変えながら試聴していく中で、この瞬発力とキレの良さが存分に楽しめるのが「津軽三味線」でした。太棹に鋭くバチを叩きつけた音の迫力は、多少の録音の古さすら忘れさせるものがあります。なかなか試聴では選ばれにくいジャンルかもしれませんが、機会がありましたらぜひお試しください。

製品仕様

サイズ(W幅×H高さ×D奥行) 430mm×112mm×330mm 重さ 17kg
接続方式(入力) XLRバランス入力 接続方式(出力) XLR3pin x2、XLR4pin
出力 3.5W+3.5W(32Ω) 入力インピーダンス 10kΩ

【商品情報】DVAS Model2

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DVAS Model2

まとめ

埼玉県深谷市発のオーディオブランド・DVASによるヘッドホンパワーアンプ「Model2」は、
・ボリューム機構なし、入出力ともバランス接続のみという音質最優先の思い切った仕様
・増幅段用トランスと制御回路を天板に取り付けた”天吊り型”構造など、ユニークな設計
・上流のキャラクターを活かしつつ、駆動力の高さで瞬発力とキレを加えたサウンド

と、けっして気軽に導入できるアンプとはいえませんが、ハイクラスDACをお持ちの方やヘッドホンオーディオを突き詰めたいという方に一度はお聴きいただきたい製品になっています。

Model2は現在、受注生産(納期は都度ご確認)にてご注文を承っております。なお、この年末年始限定とはなりますがただいま店頭でのご試聴も可能となっています。今回組み合わせたDAVEのほか、MSB TechnologyのハイクラスDAC・Discrete DAC Plusと接続してのご試聴も可能ですので、ぜひ店頭でそのサウンドをお確かめください。
※ご試聴および機材変更の際は店頭スタッフにお申しつけください