iBasso Audio DX260 のオーディオ専門店スタッフレビューです。直線的かつ複雑な面構成のデザインを採用し、DACチップ「CS43198」8基の性能を最大限に発揮し、ソリッドで直線的なサウンドが特徴の音楽プレーヤーを詳しく紹介します。
目次
iBasso AudioのDXシリーズとは
DX260の詳細
DX260の音質レビュー
製品仕様
まとめ
iBasso Audio(アイバッソオーディオ、以下「iBasso」)は2006年に設立された中国のポータブルオーディオメーカーです。オーディオプレイヤー(DAP)の世界では、2012年に世界で初めてDAPにAndroid OSを搭載したモデル「DX100」(日本国内では改良モデル「HDP-R10」として販売)を発売、その後も多くのDAPを開発・発売してきました。
現在のiBassoのDAPラインナップとしては、エントリークラスの「DX1x0」シリーズ、ミドルクラスの「DX2x0」シリーズ、ハイクラスの「DX3x0」シリーズをレギュラー展開しているほか、ポータブルという枠を無視した音質最優先の限定モデル「DX MAX」シリーズが存在しています。
そんなDXのミドルクラスシリーズに新モデルが登場します!それがこちらの「DX260」です!
今回はこのDX260について、詳細と音質レビューをお送りいたします。
パッケージを開くと、保護シートが貼り付けられたDX260本体がお目見えします。この主なハードウェアスペックを記載した保護シートも、iBassoファンにとっては開封時の喜びを演出してくれる存在としてすっかりおなじみではないでしょうか。
付属品は専用TPUケース、同軸デジタルケーブル、4.4mmバーンインケーブル、製品保証書、スクリーンプロテクター、USB-C to A 充電ケーブルとなっています。
バーンインケーブル、というのはこのケーブルを4.4mmバランス端子に差し込んだまま音源を再生することでDX260本体のバーンイン(エージング)を行うためのアイテムです。
こちらがDX260本体です。前モデル・DX240が全体的にやや丸みをおびた形状だったのに対し、今回のDX260では直線で構成された”インダストリアル・デザイン”が採用されています。
なお、DX260はシルバーとブラックの2色展開となりますが、今回使用したサンプルはブラックモデルです。
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主な出力端子はこれまでのiBasso Audio製DAPと同じく本体下部に配置されており、左から4.4mmバランス出力端子、3.5mmシングルエンド出力端子が並んでいます。今回はラインアウト専用端子は設けられていません。
さらに前モデル・DX240と大きく異なるポイントとして、DX260ではアンプモジュールの交換に非対応となりました。
本体上部にはmicroSD用カードスロット、充電用USB Type-C端子と同軸デジタル出力端子を配置されています。
本体右側面にはシルバーのボリュームノブ、「戻る」「再生・停止」「進む」の各ボタンが配置されています。電源のオン・オフはボリュームノブを数秒押し込んで行います。
なお、左側面にはなにもありません。
こちらがDX260の背面。シルバーのプレート部分でななめに色が異なっているのが写真からもおわかりになるのではないでしょうか。これは撮影時の影などではなく、実際にこの部分がほんのわずかですが傾斜していてデザイン上のアクセントを加えています。
ボリュームノブの周辺にはDX150やDX200など、過去モデルのメカメカしいテイストが加えられているそうです。
微妙に複雑な面構成をしているDX260ですが、もちろん付属の専用TPUケースはそれらの形状にぴったり合わせた出来になっていますのでご安心ください。
続いて、DX260の内部設計についてもご紹介しましょう。DAPを構成するパーツの中でも特に重要なDACチップには、シーラスロジック社製のフラグシップDACチップ「CS43198」をなんと8基も搭載しています。この”Octa DACアーキテクチャ”を採用することで、DX260はTHD+N(全高調波歪み率+雑音)特性が「-123dB」という、音のひずみやノイズが非常に少ないことを表す優れた数値を実現しています。
また、前モデル・DX240でも採用されていた、システム処理用のICチップであるSoC(System on a Chipの略、DX260もSnapdragon 660を搭載)とは別にオーディオ再生処理専用の"FPGA"と呼ばれるICチップを併用する”FPGA-Masterテクノロジー”は、ピコ(1兆分の1)秒レベルの精密なデータ制御と調整が可能な「FPGA-MASTER 2.0」に進化しました。これにより、8基あるDACチップ・CS43198の性能を最大限に引き出すことができるとのことです。
それではいよいよDX260の音質を確認してみましょう。イヤホンには前モデル・DX240レビュー時と同じ「FitEar TG334」を組み合わせ、Mango OSモードで試聴しています。
厚みを感じさせる中域の主張と、引き締まった硬質な低域の存在感でボーカルものから打ち込み系まで楽しめるサウンドです。高域は余韻や伸びよりも瞬発的な立ち上げ・立ち下げの良さがあるため、生楽器の表現という点では好みが分かれるのではないでしょうか。音場はリスナーの近くで展開され、左右の広さより前後の奥行き感が強く表される印象です。
前モデル・DX240と比較すると、アナログ的で柔らかさを持ったDX240に対し、筐体デザインのようにソリッドで直線的なイメージがサウンド面にも加わったDX260、というような違いを感じました。外見と音のイメージが一致する、というのは単なる偶然かもしれませんが、オーディオ製品ではわりと多いお話のように思います。このあたりはいつか機会があればメーカー設計者にも詳しく話を聞いてみたいところです。
ボディ材質 | アルミニウム合金 | サイズ | 123mm×74.5mm×17.5mm |
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重量 | 229g | ディスプレイ | 5.0インチ 1080×1920 - On-Cell静電容量方式タッチパネル - |
OS | Android 11 | DACチップ | Cirrus Logic社 CS43198×8 |
Bluetooth | Ver 5.0 | Bluetooth対応コーデック | 送信:AAC / SBC / aptX / aptX HD / LDAC、受信:AAC / SBC |
【商品情報】iBasso Audio DX260
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