MADOO Typ622をオーディオ専門店スタッフがレビューします。窓デザインのハウジングとプッシュプル型マイクロプラナーマグネティックドライバーOrthoを搭載したゆったりとしたサウンドが特徴の有線イヤホンを詳しく紹介します。
目次
MADOOとは
Typ622の特徴
Typ622の音質レビュー
製品仕様
まとめ
MADOO(マドゥー)は2021年に設立されたイヤホン専業の国内オーディオブランドです。翌2022年4月に発売されたデビュー作・typ711をはじめ、歴代モデルにはフェイスプレート部にサファイアクリスタル製の”窓”が設けられているというユニークな特徴を持っているブランドでもあります。
【試聴レビュー】MADOO Typ711登場!新登場の国内イヤホンブランドの実力とは?
» こちらの記事を見る
そのMADOOからいよいよ第4弾モデルが発売を迎えました!それがこちらの「Typ622」です!
今回はこのTyp622について、詳細および音質レビューをお送りいたします。
MADOO製品といえばまるで腕時計を納めているかのような2段構成の箱が印象的ですが、それはこのTyp622にも受け継がれています。パッケージを開けると上の段にはイヤホン本体、下の段には付属品の入ったキャリングケースがお目見え。
付属品は先述のキャリングケースのほか、3.5mmシングルエンドケーブルに4.4mmバランスケーブル、そしてイヤーチップとなっています。
2本のイヤホンケーブルはどちらも4芯銀メッキ銅線構造で、イヤホン端子・プラグともしっかり保護された状態でパッケージングされているところに国内ブランドならではの心くばりが感じられますね。
イヤーチップは単品販売もされているAcoustune AEX07のS/M/Lサイズが1ペアずつ、それにフリーサイズのフォームチップが1ペア付属しています。なぜAcoustune製品が含まれているのかというと、このMADOOはAcoustuneのサブブランドとして設立されたという経緯があるためです。
Typ622のハウジングがこちら。モデルごとに異なる素材やカラーリング、”窓”の形が採用されているMADOO製品ですが、今回のTyp622ではハウジング素材にアルミニウムを採用し、サンドブラスト処理を施したブラックの筐体にゴールドの”窓枠”が備えつけられた形となっています。
この”窓枠”も、ただ表面を金メッキしたというものではありません。よく見ると、八角形の角ひとつひとつに配置されたネジはもちろん、サファイアクリスタルのはめ込まれたさらに内側まで丁寧にゴールド一色で統一されていることがわかります。
Typ622が搭載するのは、MADOOによって開発されたプッシュプル型マイクロプラナーマグネティックドライバー“Ortho” です。これは極薄の軽量な振動板を磁石で挟み込むように配置することで駆動するという方式で、既発モデル・Typ821にも搭載されているドライバーです。
そう、実はこのTyp622はTyp821と同じドライバー構成をとりつつ、ハウジング素材をチタンからアルミニウムに変更することでお求めやすい価格を実現、さらにチューニングも変更したことで「より”Ortho”ドライバーの魅力を手に取りやすくした」モデルでもあるのです。
ケーブルの端子にはこれまでのMADOO製品と同じく、日本ディックス社製の高音質・高信頼性を誇るIEMコネクター「Pentaconn Ear(ペンタコンイヤー)」コネクターを採用しています。イヤホン側の端子のすぐ横には突起があるのもこれまでどおりなので、リケーブルをお考えの際にはコネクタカバーのサイズにご注意ください。
Typ622のステム(軸)もこれまた歴代モデル同様の楕円型となっています。一見「これでちゃんと耳の穴に入るのかな?」という気もしますが、日本、香港、中国、韓国などを中心とした「アジア人の耳」をベースデザインに設計されたハウジング形状とともに、人体にとって自然な装着感となるよう計算された形状ですのでどうぞご安心を。
それではいよいよTyp622の音質チェックとまいりましょう。プレイヤーにはAstell&Kern KANN ALPHAを組み合わせ、4.4mmバランスケーブルを接続して試聴してみました。
柔らかさと響きを持った中域に、適度な量感・重さを感じさせる低域でリスナーを包み込むような優しいサウンドという印象です。高域はプラナードライバーで連想されるようなパキパキしたイメージではなく、ちょっと先を丸めて刺激を少な目に仕上げたような耳当たりとなっています。
音場も広めなので、大きめのホールでゆったりと演奏を楽しんでいるかのような臨場感が味わえるイヤホンになっていると思います。
ここでせっかくなので、同じ“Ortho” ドライバーを搭載した先輩格モデル・Typ821と比較試聴してみましょう。
【商品情報】MADOO Typ821
» 詳細を見る
鋭い高域を中心としたシャープかつタイトなサウンドのTyp821に対し、先に触れたとおり中低域を中心としたソフトなサウンドのTyp622という感じでかなりキャラクターの異なる2モデルですが、それぞれの帯域を邪魔することなく鳴らし分ける分離感の良さなどベースとなる性能の高さはほぼそのままかと思われます。
価格だけでいえばTyp821の方が約8万円ほど上ではありますが、単純に上位・下位の関係ではなく音の好みで選んでいただけるのではないでしょうか。
型式 | プラナー型イヤホン(密閉型) | ドライバーユニット | Micro Planar "Ortho" Driver x1 |
---|---|---|---|
ハウジング素材 | アルミニウム+サファイアクリスタル | 最大入力 | 5mW(0.4V) |
インピーダンス | 15Ω | 周波数特性 | 20Hz-40kHZ |
コネクター | Pentaconn EAR | 重量(ケーブル含む) | 約40g |
【商品情報】MADOO Typ622
» 詳細を見る