04/24開催の「春のヘッドフォン祭2021 ONLINE」で突然姿を現したAcoustuneのLightning変換アダプター・AS2000が正式発表。今回は発売前にお借りした実機のレビューを交えて改めてご紹介致します。
Acoustune(アコースチューン)は2013年設立のイヤホンメーカーです。軽量かつ高い強度と柔軟性を合わせ持つポリマーバイオマテリアル「Myrinx(ミリンクス)」を振動板素材に採用した”ミリンクスドライバー”を搭載した数々の製品は、非常に高い解像度と広いダイナミックレンジを再現することで人気となっています。また、メーカーみずからが既存モデルのシェルを耳型に合わせてカスタム化するサービス「ST1000」を行っているという、非常にユニークな面も持っています。
先月開催の「春のヘッドフォン祭2021 ONLINE」でも、発売時期などの詳細は未定ながら「チャンバー交換システム」というマニア心をくすぐるフラッグシップモデル・HS2000MXをご紹介いただきましたが…そういえば、動画の後半でなんの予告もなしに登場したアイテムがありましたね?
そう、この時MCもまったく知らなかった「もうひとつの新製品」の発売がついに正式決定!それがこちら、Lightning 変換アダプター・AS2000 Lightning Adapter!
…あら?なんだかこうしてみると絵的に寂しいような…。いえいえ、AS2000の本当の姿はここからです!
このAS2000、なんとイヤホンプラグを差し込むジャック部分が交換可能!通常よく使われる3.5mmプラグのほか、2.5mmプラグや4.4mmプラグのイヤホンもジャック交換で使えるようになるLightning変換アダプターなのです。
交換式のジャック部分はCNC切削加工のアルミ製(アルマイト処理済み)。ゴールドのジャック本体にブラックのカバーがかけられたようなデザインです。よく見ると内部のジャック本体には「Acoustune」「AS2000」と刻まれているのがおわかりいただけるかと。
Lightningケーブル部と各ジャック部とは4本のピンで接続されます。これもよく見ると、ケーブル側のオス端子には凸が、ジャック側のメス端子には凹がある(赤丸で囲んだ部分)のでうっかり接続を間違って刺すこともありません。
また、ケーブル部分の線材はAcoustuneの人気モデル・HS1300SSの付属ケーブル(ARC61)と同じ高純度8芯OFC線。皮膜には断線防止のため耐久性の高い特殊ケブラーを採用しています。
Lightning変換ケーブルということでこのAS2000はもちろんApple製品専用、しっかりとApple MFi認証を取得した”Made for iPhoe/iPad/iPod”製品です。そのためハードウェアスペックとしてもMFi準拠となるので最大48kHz/24bitまで対応。この数値より上のハイレゾ音源はダウンコンバートによる再生となってしまいますが、このところ話題の「Apple Musicのロスレス化」には充分対応可能であると思われます。また、地味ながら3.5mmジャックでの接続時にはマイクつきの4極端子も使用可能。
もうひとつ重要なポイントとして、2.5mm/4.4mmのジャックにすることで各端子のイヤホンが接続可能にはなりますが、これはMFiの仕様上「バランス出力には対応していない」ため、いわゆるバランス接続ではありません。とはいえ、問題なく音は出ますのでご安心を。
なお、パッケージにはLightningケーブル部とジャック部3種類のみが入っており、マニュアルや保証書といったドキュメントの類は同梱されていません。購入時のレシートが保証書の代わりとなりますので大切に保管をお願いします。
それでは肝心の音質について、今回はApple純正のLightning変換アダプターとも比較しつつ確認してみたいと思います。使用するイヤホンは同じAcoustuneのHS1300SS。
まずは純正アダプターで聴いてみて…うん、意外と悪くないように思います。が…
AS2000に替えてみると、明らかに低域の沈み込みが変わります。特にウッドベースの鳴り方がまったく別物のように太くなりました。また、音の定位もシャキッとする感じで、純正アダプターではそれぞれの音がふわっとしていたところがある程度しっかりと居場所を確保したようなイメージです。
続いてHS1300SSのケーブルを付属ケーブルから別売のARS133(Pentaconn Ear・4.4mmプラグ)に替えて、AS2000のジャック部も4.4mm版に変更。このケースではケーブルそのものが変わっているため(8芯→16芯)単純に比較はできませんが、やはり低域の沈み込みは3.5mmと同様に感じられました。また、音も若干濃いめに変化したように思いますが、これは以前ARS100シリーズの試聴レビューでも感じた変化なのでおそらくARS133に替えたことによる音質変化のようです。
先にお伝えした通り、このAS2000はバランス出力非対応。そのため、いわゆる小型USB-DACのように「バランスケーブルに替えたことによる音質向上」は得られないのが正直なところですが、小型USB-DACの多くは接続がUSB Type-C。そのままではiPhoneで使用することはできず、またLightningケーブルが使えても一部制限があったり、カメラコネクションキットが必要となるなどなかなかスマートにいかないことも確かです。このAS2000最大のメリットはなんといってもそういった面倒のない”Apple MFi認証取得製品”であること。さらにジャック交換により、接続できるイヤホンの幅が広がるという点は特に何本ものイヤホンをお持ちの方なら嬉しいポイントですね。
本体素材 |
CNC切削アルミ(アルマイト仕上げ) |
---|---|
入力端子(コネクター) |
Lightning 端子(Apple MFi認証取得済) |
対応サンプリングレート |
最大48kHz *MFi準拠 |
対応量子化ビット |
最大24bit *MFi準拠 |
対応OS |
iOS 7.2以降 |
出力端子 |
3.5mm/3極、2.5mm/4極、4.4mm/5極(ジャック交換式) |
マイク付イヤホン対応 |
○(3.5mm/4極プラグ) |
インラインコントローラー対応 |
○(3.5mm/4極プラグ) |
ケーブル素材 |
高純度8芯OFC線(特殊ケブラーシース使用) |
全長 |
約112mm(±5mm) |
ケーブル長 |
約30mm |
重 量 |
約12g |
生産国 |
中国 |
付属品 |
3.5mmジャックアダプター×1、2.5mmジャックアダプター×1、4.4mmジャックアダプター×1 |
Apple MusicやAmazon Music、Spotifyといったサブスクリプション音楽配信サービスもすっかり定着し、最近では国内ビッグアーティストも続々と音源を解禁し始めています。こうしたサブスクサービスはハイクラスDAPでも対応アプリをインストールすることで利用可能にはなりますが、ネットワーク接続が必須という点ではスマートフォンからの利用がまだまだ便利です。このところの話題の盛り上がりで「普段はDAPで音楽を聴いているけど、そろそろサブスクも無視できなくなってきたな…」と思いはじめた方、まずはこのAS2000でそのスタートを切ってみてはいかがでしょうか。