アメリカのヘッドホンブランド「AUDEZE」が日本再上陸!今回は待望の最新3モデルLCD-5(平面磁界駆動型ヘッドホン) / CRBN(静電型ヘッドホン)/ EUCLID(平面磁界駆動型インイヤーイヤホン)をレビューします。
AUDEZEとは
平面磁界駆動型ヘッドホン LCD-5 OPEN-BACK HP
AUDEZE初の静電型ヘッドホンCRBN ELECTROSTATIC HP
平面磁界駆動型インイヤーイヤホン EUCLID IN-EAR
まとめ
AUDEZE(オーデジー)は2008年にアメリカで設立されたオーディオメーカーです。設立当初は他社製品の改造品(いわゆるMOD)を販売していましたが、本格的なブランドデビュー作であるLDC-2(2010年発売)をはじめ一貫して『平面磁界ドライバー』にこだわり続ける職人気質なメーカーでもあります。
日本でもLCD-2の発売を皮切りに展開開始し、それ以来非常にファンの多いメーカーですがつい先日国内代理店が取り扱いを終了…。
アメリカ本国で発表された新製品はいつ日本でお目にかかれるのか?!と話題でしたが、ついにこのたびあの「完実電気」さんが新しい代理店として取り扱いを開始することになりました!
今回はその”日本再上陸”第1弾となる新製品3モデル
・LCD-5 OPEN-BACK HP(平面磁界駆動型ヘッドホン)
・CRBN ELECTROSTATIC HP(静電型ヘッドホン)
・EUCLID IN-EAR(平面磁界駆動型インイヤーイヤホン)
について、音質レビューつきで詳細をお届けいたします!
まずはAUDEZEを代表する「LCDシリーズ」の最新作「LCD-5 OPEN-BACK HP(以下LCD-5)」のご紹介です。
AUDEZE伝統の平面磁界ドライバー搭載はもちろん、オリジナルテクノロジー「Uniform Voice Coil」をさらに進化させた、振動板の均一な動きを実現しつつ強力なドライブ能力を達成したという新技術"Parallel Uniforce Voice Coil"を開発。
このコイルにより、ドライブ能力がアップしているだけでなく、抵抗値の不要な上昇を防ぎ低歪を実現したとのことです。
ハウジングはメガネのフレームなどでも知られる、植物由来のプラスチック素材であるアセテート製です。本体重量は420gとやや重めですが、前作LCD-4が690gもあったことを考えるとかなり軽量化が図られていると言えます。
ケーブル着脱コネクタは4pinミニキヤノンプラグとこのあたりは従来モデルを踏襲しています。
付属ケーブルは新規に採用した、高純度OCCカッパーケーブル(6.3mm標準プラグ)です。
装着性と密閉性を改善した、ヤマ型を採用した独自の形状のイヤーパッドも新たに開発。耳の後ろがわにあたる部分がかなり高くなっているのが特徴です。このイヤーパッドは、グリルの形状に左右されない優れた装着性と密閉性を実現し、中低域のサウンドチューニングにも大きく貢献しているそうです。
これまでのLCDシリーズと大きく違うのが、ヘッドバンドとハウジングをつなぐ”ロッド”の部分。
従来はヘッドバンドの端にロッドを通すためのパーツを設けていましたが、このLCD-5はまるで「ヘッドバンドに直接ロッドを突き刺した」ような接続方法になりました。従来モデルを見慣れた方だと、思わず2度見するくらい斬新なデザインです。
それではいよいよLCD-5の音を確かめてみたいと思います。試聴にはdCS Bartok DAC+を使用しました。
【商品情報】dCS Bartok DAC+
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音源に収められた音を残らず再生していくかのような、ダイナミックレンジの広さに驚かされます。音場は広く、頭のうしろにまで回り込むイメージです。
全体的にはフラット目な音質傾向ですが、質量感のある低域と伸びやかな高域がいわゆる「つまらない音」には感じさせず、ジャンルを選ばず楽しませてくれます。若干気になっていた重さについては、充分な厚みをもったイヤーパッドがうまく重量を和らげてくれるのか、30分程度の試聴では負担になるような感覚はありませんでした。
【商品情報】AUDEZE LCD-5
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続いてはAUDEZE初となる”静電型”ヘッドホン「CRBN ELECTROSTATIC HP(以下CRBN)」のご紹介です!
CRBN(カーボン、と読みます)はその名のとおり、金属の代わりにカーボンを使用した”メタルレス”の画期的な静電型ダイアフラム(振動板)「カーボン・ナノ・チューブ・ダイアフラム」を搭載しています。
このダイアフラムにより高い能率と耐共振性の向上、ダイアフラム上の可動域の拡大が可能となり、優れたレスポンスと20Hzまで伸びる低域の再生を実現しました。
AUDEZEとしては珍しい楕円形のハウジング、そしてグリルには立方体パターンをあしらい、一見まったく別のブランドのヘッドホンにも見えます。
プラグは静電型ヘッドホンではおなじみの5pinタイプで、DC580ボルト・バイアス対応のヘッドホンアンプでドライブ可能となっています。非常に高い電圧がかかることもあってか、ケーブルは着脱不可です。
イヤーパッドももちろん楕円形。こちらはLCD-5と違い、高低差のない一般的なパッドという感じです。
ヘッドバンドとロッドの接続部も、従来製品と同じパーツを使用しています。
それではCRBNも聴いてみましょう。こちらは先にご紹介したとおり静電型アンプが必要なため、当店で常設している唯一の静電型アンプ「HiFiMAN Jade II Amplifier」を「dCS Bartok DAC+」と繋いでの試聴です。
【商品情報】HiFiMAN Jade II Amplifier
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こちらはLCD-5と比較すると音場はやや頭の中心に集まる感じで、低域はさらに力強く量感が増してウォーム系のサウンドバランスになるようです。
ジャンルとしてはボーカルものがより活きる感じの音質ですが、このあたりは組み合わせるアンプによっても大きく左右されるのではないかと思われます。
【商品情報】AUDEZE CRBN
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最後にご紹介するのはイヤホン「EUCLID IN-EAR(以下EUCLID)」です!
AUDEZEはこれまでも「LCDiシリーズ」や「iSINE」シリーズといったイヤホンを展開してきましたが、それらがデザイン的には”大きな振動板からステムを伸ばした”形状だったのに対し、このEUCLID(ユークリッド)はやや大柄ながら普通のシェル型イヤホンになっています。
フェイスプレート部にはAUDEZEロゴを配置。
ケーブルとの接続コネクタはMMCXです。付属ケーブルは長さ1.25mの3.5mmステレオミニプラグ。
真横から見るとかなりの厚みがあるシェルだということがよくわかります。
ステムの径・長さも特別なものではないのでイヤーピースの交換はしやすいかと思います。内蔵するドライバーはもちろん平面磁界ドライバーで、直径18mmというイヤホン用としては非常に大型のものとなっています。
付属品はペリカンケースにメッシュバッグ、イヤーチップとしてシリコン製のS/M/L, コンプライ(T-200)のS/M/L、クリーニングブラシ、ケーブルクリップ、シリアル番号やメーカーURLを記載したカードとなっています。
ではEUCLIDの音質チェックです。プレイヤーには本日発売を迎えたiBasso Audio DX240をセレクトしました。
【商品情報】iBasso audio DX240
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こちらはとにかくフラットな音質バランスと、イヤホンとは思えないほどの広い音場を持ち合わせたモデルになっています。シリコン製のイヤーピースでは低域が若干弱いように感じましたが、コンプライに替えるとしっかりとした低域が出るなど、イヤーピースの選択も音質チューニングに大きく影響するようです。
平面磁界ドライバーということもあってか音量はかなり取りづらいため、それなりに出力の高いプレイヤーでの使用がお勧めです。
【商品情報】AUDEZE EUCLID
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今回ご紹介したAUDEZE最新3モデル『LCD-5』『CRBN』『EUCLID』の発売は11月25日です。