中国の人気ポータブルオーディオメーカー「iBasso Audio」から新型フラッグシップDAP「DX320」とアンプモジュール「AMP13」が発売決定しました。じっくりと音楽を楽しめる最新DAPの詳細と音質レビューをお届けします。
iBasso AudioのフラッグシップDAPとは
iBasso Audio DX320の外観と特徴
iBasso Audio DX320音質レビュー
iBasso Audio DX320 製品仕様
まとめ
iBasso Audio(アイバッソオーディオ)は2006年に設立された中国のポータブルオーディオメーカーです。設立当初はポータブルアンプを中心としたラインナップでしたが、2012年よりポータブルプレーヤーの販売も開始、人気を博しました。2021年1月にはアナログ部とデジタル部とでそれぞれ独立したバッテリーを搭載、交換式アンプモジュールにも対応したフラッグシップモデル「DX300」を発売したのですが、昨今の世界情勢の影響もあり早々に生産完了を迎えてしまいました。
【試聴レビュー】2021年最初のDAPは”300”!iBasso Audio最新モデル・DX300の魅力に迫ります!
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そのフラッグシップの座に新たなDAPが登場することとなりました!それがこちらの「DX320」です!
今回はこのDX320について、詳細および音質レビューをお届けします。
パッケージを開くとDX320本体がお目見えします。画面保護のシートをよく見ると、DX320のハードウェア面の特徴が列挙されていますがこちらは後ほど改めてご紹介しましょう。
付属品等はDX320本体の下層に収められています。
DX320のパッケージ内容は本体、専用レザーケース、充電およびデータ転送用のUSBケーブル、マニュアル(日本語ページあり)、保護フィルム、同軸デジタルケーブル、そしてiBassoのDAPではおなじみのバーンインケーブルなどとなっています。なお、DX320はこちらのブラックとブルーの2色展開となりますが、レザーケースはどちらもモスグリーンとなっています。
DX320の本体サイズは162mm×77mm×17mmです。これはDX300とまったく同じサイズとなっています。ディスプレイは6.5インチ(2340*1080ドット)と大画面で、ちょっと大きめのスマートフォンのような見た目です。
DX300とDX320とを見分けるポイントのひとつが、右側面に配置されている電源ボタン兼ボリュームノブの色です。DX300ではノブの色が金色でしたが、今回のDX320ではシルバーになっています。右側面にはその他、「戻る」「再生」「進む」の3つのボタンが配置されています。
左側面にはmicroSDカードスロットのみが配置されています。
本体上面にはUSB Type-Cコネクタと3.5mm同軸デジタル出力端子を装備しています。
底面には交換式アンプモジュールスロットが用意されており、ディスクリート回路設計を施した「AMP11 MK2s」が装着されています。こちらは左から4.4mmバランス、2.5mmバランス、3.5mmシングルエンドの各出力端子が並びます。
DX320ではAndroid OSのバージョンが11になったものの、心臓部であるSoCのQualcomm Snapdragon 660や6GBのメモリ容量、内蔵ストレージが128GBであることなど、ハードウェアの構成はDX300と変わりません。しかし、DACチップになんと京都の電子部品メーカー・ローム社製のフラッグシップチップ「BD34301EKV」をデュアルで搭載しているのです。
この「BD34301EKV」は主に据置用オーディオ機器で採用されてきたDACチップで、ポータブル機器での採用は極めて珍しいチップとなっています。
音楽再生で重要となる『空間の響き』、『静寂性』、『スケール感』の3要素を表現することに重きを置いたローム社独自の音質設計によって目標とした音質表現を実現するほか、業界でも最高クラスの低歪率・低ノイズ性を備えるため、高品質なHi-Fiオーディオデバイスが求める高い要求に応えるDACチップになっています。
内部処理にはDX300に引き続き、常にオーディオ処理を最優先に実行する回路・FPGAを搭載する「FPGA-Master」技術を採用しています。また、マスタークロックとしてAccusilicon社製の高精度フェムトクロックを2基搭載し、単一のソースから生成されたクロックをDACと同期することでジッターを極限まで排除したサウンドを構築しています。
それではいよいよ、DX320の音質を確認したいと思います。今回は組み合わせるイヤホンにAcoustuneのフラッグシップモデル「SHO-笙-」を選んでみました。なお、DX320はMangoモードで使用しています。
【商品情報】Acoustune SHO-笙-
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頭を包み込むような音場の広がりに、やや中低域寄りの硬質なサウンドでひとつひとつの音の輪郭をハッキリ、しっかり聴かせるかのような音作りです。とはいえ、音をバラバラに分解しているような印象はなく、しっかりと「音楽」としてのまとまりを感じさせる絶妙なバランスを保っています。
低域の量感は若干控えめなものの質感があり、こちらも音の輪郭表現に貢献しているように思います。スピード感やシャープさという面よりも、じっくりと音楽を表現することを重視しているかのようなプレーヤーです。
ところで、DX320では交換式アンプモジュールを採用しているのですが、もちろんその「交換用アンプモジュール」も新型が同時発売されます!
それがこちら、DX320/300専用モジュール「AMP13」です!
こちらはご覧のとおり、KORGの次世代真空管「Nutube 6P1」を採用したアンプモジュールで、低ノイズの「ローノイズ出力端子」と、ハイパワーの「マキシマム出力端子」の2つの3.5mmシングルエンド出力端子を装備しています。組み合わせるイヤホン・ヘッドホンに応じて使い分けが可能です。
ということで、アンプモジュールをこちらのAMP13に交換して、ローノイズ出力端子から再度試聴してみます。
なお、交換時には非常に小さなネジ2本の着け外しが必要ですので、紛失には充分ご注意ください。
標準装備のAMP11 MK2sと比較すると、硬めな輪郭をもっていたそれぞれの音が融合し、柔らかさを加えて心地よく聴かせる印象のサウンドになりました。低域にも若干豊かさが増し、高域の刺激もかなり丸められたように感じます。
その分、音楽ジャンルによってはちょっともたつきを感じる面もあるかも知れませんが、ライブ音源や女性ボーカルなどはより魅力的に再生してくれる組み合わせではないでしょうか。
一方でNutubeの宿命ともいえる、DX320本体に衝撃が加わった際にキーンというノイズが発生する「マイクロフォニック現象」はやや目立つようです。
AMP13はバランス端子がない「シングルエンド接続専用」となっている点は残念ですが、それでもこの頭を包み込む音場の広がりと柔らかなサウンドが得られる「DX320+AMP13」というセットは一聴の価値がある組み合わせだと思います。
ちなみに、AMP13を装着したDX320では背面の小窓からうっすらと光るNutubeの明かりを眺めることができますよ。
【商品情報】iBasso Audio AMP13 (Black)
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ボディ材質 | アルミ合金 | サイズ | 162 x 77 x 17 (mm) |
---|---|---|---|
重量 | 310g | DACチップ | BD34301EKV x2 |
ディスプレイ | 6.5 inch、2340 x 1080 画素 | 再生対応音声形式 | 最大 768 kHz/32bit までの PCM、最大 22.4MHz までの DSD |
出力系統 | 3.5mm シングルエンド フォン/ライン出力、2.5mm バランス フォン/ライン出力、4.4mm バランス フォン/ライン出力、3.5mm 同軸デジタル出力、USB-TypeC OTG 出力 | 内蔵ストレージ | 128GB |
【商品情報】iBasso Audio DX320
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iBasso Audioの新型フラッグシッププレーヤー「DX320」は
・DACチップにローム社製フラッグシップ「BD34301EKV」をデュアル搭載
・ひとつひとつの音の輪郭をハッキリ描き出しながら「音楽」としてまとまり良く聴かせる音作り
・交換式アンプモジュール方式でNutube採用モジュール「AMP13」(同時発売)も使用可能
と、iBasso Audioがもつ音へのこだわりが存分に発揮された製品となっております。
DX320およびAMP13は本日よりご予約受付を開始、発売は6月29日です。試聴機も本日から店頭展示しておりますので、ぜひiBasso渾身の最新作をご自分の耳でご確認ください!
※アンプモジュールの交換は店頭スタッフまでご依頼ください