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2023.07.06
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RME ADI-2/4 Pro SE レビュー × 太田タカシ|サウンドエンジニアによるAD/DAコンバーターレビュー

RME ADI-2/4 Pro SE レビュー

RMEのAD/DAコンバーター「ADI-2/4 Pro SE」をレコーディングエンジニアの太田タカシさんがレビューします。フラットで中域の密度感と情報量の多いサウンドが特徴のADI-2/4 Pro SEを実際にマスタリングも試していただきました。

太田タカシプロフィール画像
■ ライタープロフィール
レコーディングエンジニア 太田タカシ
1984年千葉県出身、バンド活動をする傍ら専門学校でレコーディングを学び、卒業後は音楽事務所のスタジオに勤務しレコーディングをしつつアレンジの基礎と制作進行を身につけた。その後、リハーサルスタジオ内のレコーディングスタジオでレコーディング・ミックス・マスタリング業務に従事した後、フリーランスに転身。現在はレコーディングの他にもサウンドプロデュースや若手の育成にも力を入れている。
主な作品参加アーティストはIndigo la End・ゲスの極み乙女。・リーガルリリー・グソクムズ・20th Centuryなど。近年はゲーム音楽やVtuberの作品にも参加している。
Twitter:@tario_ Instagram:@tario_

はじめに

みなさんこんにちは、レコーディングエンジニアの太田です。
レコーディングエンジニアという仕事柄、アーティストさんやディレクターさんにワンランク上のオーディオインターフェイスの購入について相談されることがよくあります。

相談された際、最初におすすめとして挙げるメーカーはRMEです。もちろん予算にもよりますし、僕自身全てのメーカーを網羅している訳ではないのですが、仕事にも使用しているRMEなら間違いはないと感じているメーカーです。

そんな信頼をしているメーカーのひとつ、RMEの中でもリファレンスクラスの実力を持つADI-2/4がSE(Special Editon)としてパワーアップしたということなので、詳しく紐解いていきたいと思います。

RME ADI-2/4 Pro SEの画像
RME ADI-2/4 Pro SE

RMEの特徴

RMEの特徴としてはやはり原音に忠実でフラットな音質となると思います。僕自身も実際その通りの印象を持っていますが、例えるなら"美味しい水"というのが端的に表せる表現というのでしょうか。

味付けがなく透き通る音色でその他の接続機器の味や魅力を最大限に表現してくれる。"美味しい水"で淹れたコーヒー、お茶、美味しい水で割ったお酒...美味しいですよね。RMEの魅力はそれに近いものを感じます。

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ADI-2/4 Pro SEの特徴

それでは外見を見ていきましょう。サイズは1Uのハーフラックサイズでコンパクトです。持ち運びもしやすいサイズ感です。

フロントパネル

フロントパネルは左から電源、ヘッドホン出力×2 バランス(4.4mm5極)×1、Volumeツマミ、ディスプレイ表示切り替え×4、ディプレイ、コントロールツマミ×2という構成です。

リアパネル

リアパネルは左から電源接舷ソケット、USB2.0接続端子、トリガーアウト、デジタル入出力、アナログ出力部、アナログ入力部という構成です。

デジタル入出力部

デジタル入出力はADATとSPDIFに対応する光TOSLINK入出力、付属のブレイクアウトケーブルを介してSPDIF(RCA)、AES/EBU(XLR)という構成です。

付属のブレイクアウトケーブルの画像
付属のブレイクアウトケーブル

アナログ入出力部

アナログ入力はXLR/TRSコンボ入力。
アナログ出力は2系統のバランスXLRと2系統のバランスTRSを搭載しそれぞれ独立したソースを出力できます。

同包品

同包品は、リモコンと電源、先ほど紹介したブレイクアウトケーブル、USB(2.0)ケーブルが入っています。リモコンがあると設置場所の融通が効くので便利ですね。

電源

電源モジュールは新開発の高効率の最新鋭のスイッチングレギュレーターを採用しており40Wながら150gという軽量化のほか電圧の変動にも完全にレギュレートしていくため最適ではない環境でもADI-2/4 Proを動作させることができます。

DAC

DAコンバーターチップには2基のESSのES9038Q2Mを採用し、RME独自の技術で200kHzまでフラットな特性を実現しています。

またRME独自のSteadyClock FSに超高精度のクロック動作を可能にしており損失なくDA変換を行います。

RIAAモード

僕はレコードも聴くのでRIAAモードには特に興味を惹きます。

通常レコードプレーヤーやターンテーブルをオーディオ機器に接続するときにはフォノイコライザーを経由する必要があるのですが、RIAAモードを使用することでプレーヤーから直接接続しデジタル領域でゲインやRIAAイコライゼーションを処理していきます。デジタル領域で処理することによりチャンネル僅差も低く、正確なRIAA補正、超低歪みなどにおいて優位性が得られます。

余談ですがADI-2/4Pro SEには「Sound it! for ADI-2Pro」という高音質録音再生ソフトウェアがついてくるのでレコードのアーカイブ制作も捗りそうです。(RIAAモードはサンプルレート192kHzまでのモードなのでDSDで録音する場合はサポートされてません)

3/4 OUT

RMEのAD/DAコンバーターADI 2 Pro FSとの違いの中でも、音楽制作をするうえで嬉しい機能は3/4アウトができることです。

MainOutとは違うソースの音を出力できる機能なのですが、ミックスやマスタリングの際にITB(In The Boxの略pc内完結で作業する)だけでなくアウトボード(外部のハードエフェクター)を使うことができるようになります。

他にもレコーディングの際にクリックや自分の演奏の音を別で出力することで演者が演奏しやすいバランスを作ることにも役に立ちます。

ADI-2/4 Pro SEの音質レビュー

それでは音を聴いていきましょう。

試聴環境

試聴環境はMac MiniからUSB接続でヘッドホンの場合はADI-2/4Pro SEのヘッドホンアウトから、スピーカーの場合はADI-2/4Pro SEからモニターセレクター(SPL Model2381)を経由してスピーカー(iLoud Precision MTM)という環境で使用しました。

また、番外編としてTechnicsのレコードプレーヤーから内蔵フォノオフでADI-2/4Pro SE(RIAAモード)にして試聴しました。

Macの場合挿せば使える

USBは2.0となっており、Macの場合は挿せば認識するので「システム設定>サウンド>入力と出力」で設定したらすぐ使えます。Winの場合はドライバーが必要ですが、通常の方法で設定できますので難しくはないと思います。

サウンド

まずはヘッドホンで聞いてみましょう。使用したヘッドホンは、ULTRASONE Signature MasterとApple AirPods Maxを有線接続で試聴しました。

一聴して「あれ?キミこんな感じなの!?」という驚きの感覚を覚えました。普段からRME FIREFACE UFX+を使用しているので「こんな感じかな?プラスしてフラッグシップだしこんな感じかな?」なんて予想して聴いてみたのが大間違いでした。

そのサイズと機能の多さからは想像しなかった情報量の多さ!!いい意味で期待を裏切られました。

特に中域の密度感と上品さは今までのRMEから一段、いや二段くらい上がっている印象でした。スピーカーで聴いても同じで情報量の多さは群を抜いています。その情報量のおかげか音量を下げても音場が破綻せずにそのまま下がっていきます。ディスプレイにダークモードがあり暗い部屋でもちょうど良く視認できるのも好感触です。

実際マスタリングしてみた

これはぜひやってみたいということで実際にマスタリングをしてみました。詳細は書けないのですが、編成はボーカル、エレキギター、エレキベース、ドラムス、ピアノ(打ち込み)、ストリングス(生演奏)という、いわゆるJ -POP曲で試してみたのですが、音が驚くほどよく見えます!

細部の良いところと悪いところが手に取るようにわかるので、マスタリングしやすいですね。モニターにスペクトラルグラフが見えるのも嬉しい仕様です。

これを見ながらマスタリングをするというわけではないのですが、感覚とのズレがないかをすぐに確認ができる安心感があります。今回は3/4アウトを手持ちのケーブルの関係上試せなかったのが悔やまれますが、こちらも期待ができるのではないでしょうか。

レコードプレーヤーをRIAAモードで接続してみた

個人的に2番目に気になっているRIAAモードでも試聴してみました。(ちなみに1番目は3/4OUT実装です)普段はフォノイコライザーを個別に用意せずプレイヤー内蔵のものを使っているのですが、レコードプレーヤーをRIAAモードで接続して聴いてみると音の厚みが上がり、S/Nの向上、センターラインがしっかりするなど現環境からは劇的な改善がされました。これはいくらでも音楽聴けちゃいそうです。盤の状態が良いうちにアーカイブを作りたい...。

オーディオファイルから作曲家・ミックスエンジニアまで全てのユーザーにおすすめ

試聴とマスタリングを試してみましたが、RME ADI-2/4 Pro SEは全てのユーザーにおすすめできてしまう機材といえます。オーディオファイルの方はもちろん、マスタリング用途としても導入して後悔はしないと思います。

特におすすめしたいのは、より良いインターフェイスを探してる作曲家、アレンジャーです。というのも、ADI-2/4Pro SEはいわゆるDACと違いアナログインプットも可能です。RMEの高品位A/Dコンバータを使って録音もできるので宅録のクオリティの向上が期待できます。

また、アウトプットもアナログで4ch搭載されているので使いやすいようにカスタマイズできることのメリットも大きいです。「良いインターフェイスが欲しい。高音質のものに限って多チャンネルで高額だけどそんなにチャンネル数は要らない。」という方にぜひおすすめしたいです。同じ理由でミックス師やミックスエンジニアの方にもおすすめです。

製品仕様

寸法(WxHxD)215 x 44 x 160 mm ※215 x 52 x 180 mm(ノブ、足含む)重量1.2 kg
待機時消費電力 DC 12 V170 mW待機時消費電力 AC 230 V280 mW
アイドル時の消費電力14 W、最大消費電力:30 W12 Vでのアイドル電流1.16 A

【商品情報】RME ADI-2/4 Pro SE

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RME ADI-2/4 Pro SE

まとめ

まとめの画像

・RMEの特徴は原音に忠実でフラットな音質、例えるなら「美味しい水」のような印象
・コンパクトで持ち運びもしやすいサイズ感
・フォノイコライザー不要のRIAAモード
・中域の密度感と上品さと情報量の多さ
・マスタリング作業では細部の良いところと悪いところが手に取るようにわかる
・特にインターフェイスとして使用したい作曲家やアレンジャー、ミックスエンジニアにおすすめ

ADI-2/4Pro SEのレビュー、いかがでしたでしょうか?最初は限定生産の予定が反響が多かったためにライナップ入りしたのも納得のクオリティでした。できることが多すぎて紹介していない機能もあるのですが、知れば知るほど、使えば使うほど手放せなくなっていくのではないでしょうか。

操作性に関してはRMEは基本的に共通しているので一度触ったことがあれば戸惑うことなく扱えると思います。

要望があるとするならFIREFACEシリーズのようにPC上でも設定の変更やルーティングができたらもっと使い勝手がいいのに...なんて思ったりもしましたが、RMEを超えたRMEサウンドを体感できました。

「RME良いのはわかってるんだけど、ちょっと味気ないんだよなー」という方も一度試聴することをおすすめします。きっと印象が変わりますよ!

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