ONIX ONIX Miracle をオーディオ専門店スタッフがレビューします。ポータブルプレイヤー、USB-DAC内蔵ヘッドホンアンプ、専用電源の3ユニット構成のフレキシブルなShanlingの設計思想とが融合した注目の製品を詳しく紹介します。
目次
ONIXとは
ONIX Miracleの外観と特徴
Miracleの音質レビュー
ONIX XM10 製品仕様
ONIX XP10 製品仕様
ONIX XPS10 製品仕様
まとめ
ONIX(オニキス)は1979年、イギリス・ブライトンで誕生したオーディオブランドです。80~90年代には世界約28ヶ国に向け製品を輸出するなど人気を博したブランドでしたが、その後いくつかの会社に統合・買収され、現在は台湾企業のオーディオブランドとして活動しています。
そのONIXが中国のオーディオメーカー・Shanling(シャンリン)と協力して最新鋭のオールインワン・オーディオシステムを発売!それがこちらの「ONIX Miracle」です!
今回はこのONIX Miracle(以下「Miracle」)について、詳細および音質レビューをお届けいたします。
この横幅約38cmの大きな黒い箱を開けると…
なにやら小さめな物体と大きめな物体が姿を現します。これを取り出してみると…
3つのユニットが登場しました。そう、このMiracleは「XM10」「XP10」「XPS10」の3つで構成されるオーディオシステムなのです!
1つめのユニットがこちらのXM10。Miracleでは6インチ2K(2160x1080) IPSタッチスクリーンを搭載したタッチコントロールユニットとして働くことになりますが、単体で動作するポータブルプレイヤー(DAP)としても使用可能です。
DAPとしての性能は心臓部であるSoCにSnapdragon 665 CPUを、OSはオープンAndroid 10をそれぞれ採用するほか、DACチップには旭化成エレクトロニクス製AKM4493SEQを搭載するなどこれだけでも充分な実力を持つ製品となっています。内蔵ストレージは64GBですが、microSDカードスロットも1基備えているので容量も問題なしです。
イヤホン端子は3.5mmのみですが、付属のアダプターを使うことで4.4mmバランス出力にも対応します。
画面上部を下にフリックするとメニューが表示され、こちらからLow/Highのゲイン切替、ライン出力モード切替なども可能です。
2つめのユニットがXP10。いわゆる据置型のDAC内蔵ヘッドホンアンプとなりますが、こちらは単体での使用はできず次にご紹介する専用電源ユニット・XPS10と組み合わせる必要があります。
ヘッドホン・イヤホン端子には4pin XLRおよび4.4mmのバランス端子と6.3mmおよび3.5mmのシングルエンド端子を搭載、DACチップにはESS製ES9039PROを採用しています。この「DAPユニットとDACユニットで搭載するDACチップが異なる」という点が非常にユニークです。
小さい方のノブは入力切替で、「LOCAL/BT(ローカルファイル再生およびBluetooth)」「USB DAC」「DAP(XM10)」「OPTICAL(光)」「COAXIAL(同軸)」「AUX(アナログ)」をそれぞれ切り替えます。一見ランプの位置に合わせて回すように見えますが、実はこのノブは左右どちらにも延々と回り続けます。「AUX」からさらに右に回すと「LOCAL/BT」へとループする仕組みです。
XP10の背面がこちら。左からアナログRCA出力、アナログXLRおよびRCA出力、デジタル同軸および光の入力・出力、USBドライブポート(Type-A)、USBデジタル入力(Type-C)、そして電源ユニット・XPS10と接続するための専用端子を搭載しています。
天板部にはDAPユニット・XM10を接続するためのスロット(Type-C接続)と3.18インチのタッチスクリーンを備えています。
なお、XP10およびXPS10の状態では単体のDAC内蔵ヘッドホンアンプとして使用可能です。
DAPユニット・XM10をスロットに差し込み、XP10の入力ソースを「DAP」にすると、XM10内の音源をXP10で再生することが可能です。
なお、DAP接続モードではXP10側がソースのビット深度が画面の表示上すべて「32Bits」と表示されてしまいますが、こちらは仕様となります。なお、これは表示だけのことで特に内部でアップコンバートなどは行っていないとのことです。
ただし、XP10にはいわゆるアップサンプリングのオン・オフ、サンプリングレート変更も可能なSRC(サンプル・レート・コンバーター)機能が搭載されているので、サンプリングレートに関してはこちらから変更が可能です。
タッチスクリーンでは入力ソース切替やローカルファイルの再生といった操作が可能です。画面そのものが小さいため、左右フリックに関しては”画面の下半分”を意識してフリックするなど、若干慣れが必要かと思います。
画面上から下へフリックすると設定メニューが現れます。こちらでは出力切替やヘッドホンモード・イヤホンモードの切替、ゲイン切替などを行います。
XP10では背面のUSBドライブポート(Type-A)に外付けHDDなどを接続することでミュージックプレイヤーとして使用できる”ローカルファイル再生”に対応しています。これには付属のmicroSDカードリーダーを使用することもできます。リーダーにmicroSDカードを入れてからポートに差し込んで…
入力ソースを”Local”にあわせると、microSDカード内のデータを再生可能です。なお、入力ソースを示すランプはLOCALとBT(Bluetooth)で共通となっていますので、画面表示がBTとなっている場合はもう1段階左にINPUTノブを回すか、タッチスクリーンの入力メニューから”Local”を選択してください。
もちろん再生中の音源ファイルについての情報も表示されます。
3つめのユニットがXP10専用電源となるXPS10です。フロントパネルには動作状況を示すディスプレイと機能切り替えのためのノブ兼電源ボタンだけが配置されています。
背面も非常にシンプル。メインスイッチと電源インレット、XP10と接続するための専用電源コネクタが並びます。
付属の専用電源ケーブルでXP10と接続し、メインスイッチをONにしてからフロントパネルのノブを押し込んで電源を入れるとディスプレイに設定電圧や電流値、ワット数が表示されます。
このXPS10歳代の特徴が、XP10への給電電圧を変更できる「電圧コントロール機能」です。デフォルトでは18Vとなっていますが、XPS10のメニューから「Set the output voltage」を選択してノブを回すことで12~24Vまでの指定が可能となっています。
さらに電圧コントロール機能で指定した数値に対し、±0.5までの微調整もできる「マイクロアジャスト機能」も搭載しています。これにより、給電電圧は11.5~24.5Vの範囲で指定可能になっています。あえて電圧を低めに設定することで柔らかな音質を、高めに設定することでダイナミックな音質を追求することができるというわけです。
これらXM10・XP10、XPS10の3つのユニットを合体させることで、ONIXが誇るハイエンドオーディオシステム・Miracleが完成します。
ここでいよいよMiracleの音質チェックです。組み合わせるヘッドホンにはOLLO Audioのレコーディング向けヘッドホン「S4R」を選んでみました。音源はDAPユニット・XM10に入れたものを再生しています。
【商品情報】OLLO Audio S4R 1.2
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中高域の伸びやかさが印象的な、非常に透明度の高いサウンドです。左右に広がる音場と、ボリュームを上げても変な刺激もなくスッと耳に音が入ってくるようなS/N比の高さが際立ちます。ひとことで表せば”綺麗な音”を聴かせてくれるシステムということになるかと思います。
さて、このMiracleではもうひとつ、DAPユニット・XM10を単体でポータブルプレイヤーとして楽しむという使い方が可能です。そちらの音はどうでしょうか。
MiracleからXM10を引き抜き、インストール済みの再生アプリ「ONIX Music」から音源を再生してみます。
こちらはDACチップが異なることもあってか、やや中低域の厚みが加わってボーカル域の押し出しを感じるサウンドバランスになっています。Miracle(XP10)との音の比較のためあえてヘッドホン・S4Rをそのままつないでみましたが、ボリューム値をそれほど上げない状態でも音がやせるような印象もないので駆動力はなかなか高いようです。
このMiracleについては、据置とポータブルで二通りの音が味わえる”二刀流”サウンドが最大の魅力かと思います。
ディスプレイサイズ | 6 inch | DACチップ | AKM AK4493SEQ |
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OS | Android 10 | ストレージ | 64GB |
連続再生時間 | 最大18時間(動作状況により変動します) | Bluetooth Ver | 双方向性 Bluetooth 5.0 |
Bluetoothコーデック | 送信:LDAC / LHDC / aptX HD / aptX / SBC、受信:LDAC / SBC | 出力端子 | 3.5mm シングルエンド(付属4.4mmバランスアダプタにて4.4mm対応) |
DACチップ | ESS ES9039PRO | USBチップ | XMOS XU316 |
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ディスプレイ | 3.18 inch タッチスクリーン | Bluetooth(受信のみ) | Bluetooth 5.0 |
Bluetoothコーデック(受信のみ) | LDAC / aptX / aptX HD / SB | デジタル入力系統 | USB / Optical / Coaxial / XM10 Dock / Bluetoothレシーブ |
デジタル出力系統 | Optical / Coaxial SPDIF | Headphone-Out | シングルエンド:3.5mm & 6.35mm、バランス:4.4mm & XLR |
ディスプレイ | 1.9 inch | 入力電圧 | 100 – 120V |
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出力電圧 | 12 - 24 V 0.1Vマイクロアジャスト対応 |
【商品情報】ONIX ONIX Miracle
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