専門店スタッフのAstell&Kern A&ultima SP4000 レビュー!ポータブルプレーヤー界のトップランナーAstell&Kern約3年ぶりの最新フラッグシップモデル。前モデルから着実に進化した魅力を徹底レビューします!
目次
A&ultima SP4000 | 約3年ぶりの最新フラッグシップモデル
Astell&Kernとは
Astell&KernのA&ultima SPシリーズとは
Astell&Kern A&ultima SP4000の外観・付属品
Astell&Kern A&ultima SP4000の特徴
Astell&Kern A&ultima SP4000の音質レビュー
専門店スタッフのおすすめポイント
まとめ
・AK4191EQとAK4499EX DACを1対1の状態で4基搭載した“真のQuad DAC構成”を採用
・ユーザーが自由にアプリをインストールできるFull Android OSを採用
・前モデルの傾向はそのままに、さらに音の浮かび上がる階調と立体感を増したサウンド
今回は、前モデルSP3000から“正統進化”した「Astell&Kern A&ultima SP4000」について、前モデルとの比較をまじえながら、特徴や音質レビューをお届けします。
【商品情報】Astell&Kern A&ultima SP4000
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Astell&Kern(アステル・アンド・ケルン)は、2012年に韓国ソウルで設立されたオーディオブランドです。革新的でスタイリッシュなデザインとハイレベルなサウンドを特徴としています。日本ではポータブルデジタルオーディオプレーヤー(DAP)を中心に、ヘッドホンアンプやイヤホンなども幅広く展開しており、当店でも多くのお客様に試聴・購入いただいています。
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ポータブルプレーヤー界のトップランナーとして走り続けてきたAKが“世界最高峰のハイエンドポータブルプレーヤー”をコンセプトに生み出したのが「A&ultima SP」シリーズ。
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SP1000(2017年)、SP2000(2019年)、そしてSP3000(2022年)と世代を重ねてきたこのシリーズに、ついに新たなモデルが加わりました!
それがこちらの「Astell&Kerrn A&Ultima SP4000」(以下「SP4000」)です!
まず箱を開けると、前モデルSP3000の元箱の倍はあろうかというA4サイズオーバーの高級感あるハードケースがお目見えします。
手前の金具を引き上げフタを開くと、このとおりSP4000と付属品が収められています。
開封の様子はこちらの動画もご覧ください。
SP4000のデザインコンセプトは、AKシリーズの伝統を受け継いだ「闇を貫く光の力」ということで、筐体には非常に複雑なカットが施されています。筐体素材にはSP3000に引き続き『Stainless Steel 904L』を採用。通常のステンレスに比べ高い耐久性と耐食性、そして非常に美しい光沢をもつ金属です。なお、SP4000はブラック、シルバーの2色展開ですが、どちらも素材は同じStainless Steel 904Lでコーティングのみ異なっています。今回のレビューはシルバーモデルを使用しています。
右側面には、A&Ultimaシリーズでおなじみとなる、腕時計のリューズのようなボリュームノブが配置されています。このノブは電源ボタンも兼ねており、長押しで電源オン・オフを行います。
左側面には、「戻る」「再生」「進む」の3つのボタンが配置されており、前モデルSP3000同様このボタン群を頂点として出っ張ったようなデザインとなっています。
本体上面には、4.4mmバランスおよび3.5mmシングルエンドの各イヤホン出力端子と、電源ボタンを除くすべてのボタンの機能とボリュームホイール機能をロック・アンロックできるスライドスイッチが搭載されています。
底面には、USB Type-C端子とmicroSDカードスロット(最大1.5TB対応)が並びます。なお、microSDカードスロットはSP3000同様、バネ式で道具不要のスロットになっていますのでカードの着脱時にはうっかり飛ばさないようご注意ください。
背面にも「光と影」を表現した幾何学模様が刻まれているのですが、SP4000では鏡面仕上げとなっているため非常に見えづらくなっています。
前モデルSP3000と並べてみましょう。
SP4000のサイズは85mm × 149.8mm × 19.5mmと、SP3000(82.4mm × 139.4mm × 18.3mm)よりも約10mm縦長になっています。
重さは約615g(SP3000のステンレスモデルは約493g)とポータブルプレーヤーの中ではかなりの重量級。実際、手に持ってみても非常にズッシリとした重みを感じます。シャツやジャケットのポケットに入れて…というような使い方はやめておいた方がよさそうですね。
SPシリーズといえば毎回、世界的に有名なタンナー(皮革メーカー)によるレザーケースが付属していますが、今回もその伝統は続いています。SP4000付属のレザーケースは、ドイツのカーフレザー(子牛の革)専門タンナー・ペルリンガー(ぺリンガーとも)社によるシュランケンカーフを使用したアイボリーカラーの専用ケースとなっています。
ケースといえばもうひとつ、ブラックのレザーポーチも付属していますが、ご覧のとおりSP4000本体よりも若干小さいものとなっています。
こちらはSP4000ではなく、イヤホンなど周辺機器を収納するためのものだそうです。
その他の付属品は、AKおなじみの保証書にクイックスタートガイド、画面保護シート、USBケーブル(両端Type-C)、microSDカードスロットカバーとなっています。このほか、シリアルナンバーカードも付属します。
さて、次はSP4000の内部の特徴についてお話していきましょう。
SP4000に搭載されているDACチップは旭化成エレクトロニクス社のAK4191EQ + AK4499EXで、これは前モデル・SP3000と同じものです。えっ新型なのに?と思った方、実はその構成内容が異なっている点にご注目!
AK4191EQ + AK4499EXは前者がデジタル信号処理を、後者がアナログ変換をそれぞれ担当することで"まるでそこにいるかのような音"を実現するDAチップですが、前モデル・SP3000では1基のAK4191EQに対して2基のAK4499EXを割り当てていたのに対し、SP4000では1基のAK4191EQに対して1基のAK4499EXを割り当てる”真のQuad DAC構成”を採用、より正確なデジタル信号を伝達し、信号の分離と処理の向上が可能になりました。その結果、S/N比の高さで定評のあるSP3000を上回る131dBという数値を実現しています。
SP4000では、ポータブルプレーヤーの永遠の課題でもある”駆動力”の向上も図られています。
前モデルSP3000の2倍のオペアンプを搭載・水平に並列配置することで、電流を大幅に増加させ、より豊かで緻密なサウンドを実現した「High Driving Mode」が搭載されました。これは代理店・アユートS氏によれば「通常のモードがクルマでいう2輪駆動だとしたら、High Driving Modeはトルク感があって力強い4輪駆動にあたります」とのことです。
ユーザーインターフェースにもAK史上初となる大きな変更が加わりました。
多くのAK製品ではこれまでカスタマイズされたAndroid OSを搭載してきましたが、これは同時にユーザーが自由にアプリをインストールできないという制限にもなっていました。しかしこのSP4000では、ついにブランド初となるFull Android OSを採用!
画面上に新たに設けられたアプリドロワーボタンをタッチすると…
このように、AndroidスマホユーザーにはおなじみのGoogle Playストアなどのアプリアイコンが出現します。もちろんここから音源再生用アプリやサブスクアプリなど、自由にインストールが可能です。
なお、位置情報を使うものなどアプリには動作しないものも一部あるようですのでご注意ください。
このほか、いわゆるアップサンプリング機能となるDAR(Digital Audio Remaster)技術も、いったん失われた倍音を仮想復元してから改めてアップサンプリングするという第2世代の“Advanced DAR”へと進化するなど、ソフトウェア的にも多数の改善・強化が図られています。
それでは前モデルSP3000と聴き比べながら、SP4000の音質を確認していきたいと思います。
組み合わせるイヤホンは個人的リファレンスモデルのカスタムIEM・qdc Anole V14-C(4.4mmバランス)です。SP3000、SP4000ともDAR機能はオフ、DACフィルターはデフォルトの「Short Delay Sharp Roll-Off」に統一しています。
【商品情報】qdc Anole V14-C
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ひとつひとつの音を明確に描き出しながらそれらをなめらかにつなぎ合わせてユーザーの耳に届ける構成力の高さ、やや硬質でフラット傾向のサウンドなどSP3000と非常に似通った音づくりであるものの、S/N比の向上からくるのか音の浮かびあがる階調がさらに細やかになり、1音1音の立体感も増したかのようです。聴いているとまるで音楽の世界に引き込まれるような没入感の高さは言うまでもありません。SP3000も立体感の表現が苦手というわけではないのですが、直接聴き比べてみると不思議とその差が音場の前後感にもつながり、SP4000の方がより立体的に音楽を聴かせてくれるように感じました。
ここで「High Driving Mode」をオンにしてみると、まるでひとつひとつの音の”踏み出し”が力強さを増したような印象を受けます。出力が上がって低域が強くなった、というのとはまったく違い、”高域から低域まですべての音にブーストがかかった状態”という表現の方が適切かもしれません。ノリの良い曲や緩急の激しい曲にはピッタリではありますが、ボーカルが消え入るかのような繊細な曲を聴きたい場合にはオフにした方が合うように思います。
SP3000からSP4000になってこんなにガラリと変わりました!というようなわかりやすい大幅な変化はありませんが、特に毎日のようにSP3000を聴き続けてきたユーザーの方であればこの一見「大幅ではない変化」が実は音楽を聴く時には大きい、ということをよくお分かりいただけるのではないでしょうか。
・AK4191EQとAK4499EX DACを1対1の状態で4基搭載した真のQuad DAC構成を採用
・ユーザーが自由にアプリをインストールできるFull Android OSを採用
・前モデルの傾向はそのままに、さらに音の浮かび上がる階調と立体感を増したサウンド
一方で、気になった点は、やはり約615gという重さでしょうか。1曲聴いてみよう、と思って片手で持ち続けるにはちょっと厳しい重さです。うっかり落としたりしないよう、デスクの上やカバンの中など安定したところに固定して使用することをお勧めします。
約3年ぶりの登場となるAstell&Kernの最新フラッグシップポータブルプレーヤー「A&ultima SP4000」を紹介しました。
【商品情報】Astell&Kern A&ultima SP4000
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はじめてSP3000を聴いた時には「ポータブルプレーヤーでここまで音を突き詰めることができるのか」と驚いたものですが、そこからさらに音質を追い込んできたSP4000のサウンドには再度驚かされました。もちろん60万円超という価格はけっしてお安いとはいえませんが、一度聴いてしまうと、ポータブルプレーヤー界を10年以上トップの立場からけん引するAKというブランドの意地を詰め込んだモデルとしてこれくらいの価格になるのも仕方ないか…と納得せざるを得ない説得力を持ったモデルです。
Astell&Kern A&Ultima SP4000は、いよいよ本日より発売開始、店頭試聴機もすでにご用意しております!ぜひお気に入りの楽曲入りmicroSDカードをご持参のうえお試しください!お手持ちのイヤホン以外にも、店頭でご用意しているハイクラスイヤホンと組み合わせてのご試聴もオススメですよ!