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2023.11.16
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YAMAHA HA-L7A レビュー | さらなる高みを追求したハイエンドヘッドホンAVアンプ

YAMAHA HA-L7A レビュー | さらなる高みを追求したハイエンドヘッドホンAVアンプ

YAMAHA HA-L7Aをオーディオ専門店スタッフがレビューします。2つの大型トロイダルトランスを内蔵した唯一無二の個性的なデザインとキレの良い端正なサウンドピュアダイレクトモードなど多彩なサウンドが特徴のヘッドホンアンプを詳しく紹介します。

フジヤエービック店舗イメージ
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YAMAHAとは

YAMAHA(ヤマハ)は1897年(明治30年)に創業された、日本の音響機器メーカーです。ピアノやフルート、ドラムといった楽器の製造で世界的に知られているブランドですが、一方でスピーカーやアンプ、ヘッドホン・イヤホンなど数々の製品を送り出してきたオーディオメーカーとしても人気を集めています。

昨年12月には、振動板を2枚のマグネットで挟み込んで駆動させる”オルソダイナミック方式”を46年ぶりに復活させたハイクラスヘッドホン「YH-5000SE」を発売、大きな話題となりました。

YAMAHA YH-5000SE レビュー 46年ぶりに蘇った「ヤマハのオルソダイナミック」最新ヘッドホン!

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 YAMAHA YH-5000SE レビュー 46年ぶりに蘇った「ヤマハのオルソダイナミック」最新ヘッドホン! ブログイメージ

そのヤマハから、待望のDAC内蔵ヘッドホンアンプがいよいよ正式に発表・発売を迎えることとなりました!それがこちらの独創的なデザインを持った「HA-L7A」です!

YAMAHA HA-L7Aの全体画像
ヘッドホンアンプ HA-L7A

今回はこのHA-L7Aについて、製品の詳細と音質レビューをお送りいたします。

HA-L7Aの外観

パッケージ

まずは外箱から。天板部にブランドロゴが刻まれているだけの非常にシンプルかつ高級感のある漆黒の箱は、横幅40cmほどとやや大きめです。

YAMAHA HA-L7Aの外箱の画像

紙製の内箱

ちなみに、外箱および内箱は一部を除いてほぼ紙製となっています。

YAMAHA HA-L7Aの内箱の画像
パッケージはほぼ紙製

上部

箱から取り出したHA-L7Aを上から見てみましょう。HA-L7Aは非常に特徴的な”逆L字”の形になっていますが、これは一体型となっており分離させることはできません。

本体のサイズは幅333mm × 高さ133mm × 奥行き189mmと比較的コンパクトですが、重量は5.3kgとけっこうズッシリしています。

YAMAHA HA-L7Aの上部の画像
逆L字型の本体

そしてHA-L7Aといえば、なんといっても本体左側のこの部分!「飯盒(はんごう)」「ピーナツ」「某シウマイの醤油入れ」などいろいろ呼ばれていますが、ここにはヘッドホンアンプに欠かすことのできない”安定した電源供給”を実現するための重要なパーツが入っているのです。

YAMAHA HA-L7Aのトロイダルトランス部分の画像
独創的なデザイン

トロイダルトランス

それがこの巨大な2つのトロイダルトランス!トロイダルトランスとは、ドーナツ状の磁性体コアにコイルを巻きつけたものでおもに電圧を変化させるために使用しますが、HA-L7Aでは信号系回路用とアンプ部用で2つ搭載しているとのことです。また、コイルの巻き方も2本の導線を一対にして交互に巻くことで電圧のバラつきを最小限に抑えられるという”バイファイラ巻き”を採用しています。

HA-L7Aのトロイダルトランス部分の画像
HA-L7Aのトロイダルトランス(春のヘッドフォン祭2023で展示)

背面

続いて背面です。左からアナログ出力端子(RCAおよびXLR)、アナログ入力端子(RCA)、光および同軸デジタル入力端子、USB端子(Type-B)、プリまたはライン出力切替スイッチ、アップデート用接続端子、電源インレットとなっています。

HA-L7AはDACを内蔵しているので、アナログ出力から別のオーディオ機器に接続することも可能です。DACチップにはESS社製「ES9038PRO」を採用しており、PCMでは384kHz/32bit、DSDでは11.2MHzネイティブ再生に対応しています。
(写真はサンプル機のため「PROTO」の文字が入っています)

HA-L7Aの背面の画像
HA-L7Aの背面

本体右側

本体右側には操作系およびヘッドホン端子が配置されています。天板部には電源ボタン、ステータス表示および選択ボタン、メニューボタンなどのほか、のちほどご説明するPURE DIRECTボタン、INPUTおよびOUTPUT切替ボタンが並びます。

HA-L7Aの本体右側ボタン部分の画像
天板部には操作ボタンが並ぶ

HA-L7Aでは基本的に使用中の画面表示はオフになっています。現在の状態を確認したい場合は「STATUS」ボタンを押すことで入力モードおよび出力モードが表示される仕組みです。

HA-L7Aの画面INOUTの画像
STATUSボタンを押すと現在の状態を表示

ボリュームコントロール・サウンドフィールドコントロール

さらにその横には大きめのダイヤルが2つ。それぞれボリュームとサウンドフィールド・モードを変更するためのものです。イエローがポイントに使われているところが、ヘッドホン・YH-5000SEとの共通点ですね。

サウンドフィールド・モードについても、のちほどご説明したいと思います。

HA-L7Aのボリュームコントロール・サウンドフィールドコントロールの画像
大きめのダイヤルが2つ

フロントパネル

こちらがいわゆるフロントパネルです。リモコンの受光部のほかは、XLR 4pinバランス、4.4mmバランス、6.3mmシングルエンドの各ヘッドホン端子が並びます。どの端子を使うかについては、天板部の「OUTPUT」ボタンを押すことでユーザーが選択する方式で、選択中の端子の上にランプが点灯します。

HA-L7Aのアンプ部はオペアンプを使用しないディスクリート構成となっているのも特徴のひとつです。

HA-L7Aのフロントパネルの出力端子の画像
フロントパネルの各ヘッドホン端子

付属品

付属品は電源ケーブルとUSBケーブル(Type A to B・1.5m)、そしてリモコンとなっています。電源のオン・オフ含め、天板部の各種ボタンやダイヤルで行う操作はリモコンでも可能です。

HA-L7Aの付属品の画像
HA-L7Aの付属品

HA-L7Aの特徴

サウンドフィールド・モード

さて、ヤマハについては冒頭でも「数々の製品を送り出してきたオーディオメーカー」とご紹介しましたが、近年でもっとも知られているのはホームシアターの必需品でもある”AVアンプ”ではないでしょうか。

AVアンプといえば通常のオーディオアンプと異なり、再生するコンテンツに対応したさまざまなサウンドモードが搭載されている製品ですが、なんとこのHA-L7Aにはヤマハが長年に渡るAV機器開発で培ってきた独自の信号処理、多チャンネル拡張技術をヘッドホン分野でも発展・応用させた「サウンドフィールド・モード」が搭載されているのです!

たとえば映画向けの「Cinema」や野外ライブを感じさせる「Outdoor Live」、文字通りコンサートホールで聴いているかのような音場となる「Concert Hall」など、計6種類のモードを切り替えることが可能となっています。

HA-L7Aの画面サウンドフィールドモードの画像
AVアンプのようなサウンドフィールド・モードを搭載

ピュアダイレクト・モード

もちろんこういった処理はいらない、音源そのままを聴きたいという場合に対応するため、DSP回路などをバイパスして再生可能な「PURE DIRECT」モードも備えています。こちらも天板の「PURE DIRECT」ボタンを押すだけで切替可能です。

もはやヘッドホンアンプというよりも「ヘッドホンAVアンプ」と呼びたくなります。

HA-L7Aの画面ピュアダイレクトモードの画像
PURE DIRECTモードも搭載

ゲイン切り替え

ほかにも、ヘッドホンアンプに必要なゲイン切替や

HA-L7Aの画面ゲイン切り替えの画像
ゲイン切替

左右のバランス調整

左右バランスの調整だけでなく、

HA-L7Aの画面左右のバランス調整の画像
左右バランス調整

DACのフィルター切り替え

内蔵DACのフィルター切替や

HA-L7Aの画面DACのフィルター切り替えの画像
DACフィルター切替

DACロックレンジレベル

非常にマニアックな「DACロックレンジレベル」まで切り替えることができるのもHA-L7Aの特徴となっています。

DACロックレンジとは、HA-L7AのDAC部分と接続する機器との間でどれだけ「デジタル信号をやり取りしやすくするか」の幅のことです。この幅が狭いほど信号ノイズの影響を受けにくくなる=音質が良くなる、という傾向があるのですが、より正確な信号伝送が必要になるため機器との相性が厳しくなる、というリスクもあります。

適切な設定にしないと音が途切れる、出なくなるということもありますが、とにかく音を追い込みたい!というユーザーの方には嬉しい機能ではないでしょうか。

HA-L7Aの画面DACロックレンジレベルの画像
マニアックなロックレンジレベル切替機能も搭載

HA-L7Aの音質レビュー

それではHA-L7Aの音質を確認したいと思います。音源はUSBで入力、ヘッドホンにはもちろんYH-5000SEを組み合わせてみました。

試聴時には「PURE DIRECT」モードを使用しています。

YAMAHA HA-L7AとYH-5000SEを組み合わせ

YAMAHA HA-L7AとYH-5000SEを接続した画像
HA-L7AとYH-5000SE

やや硬質さを感じさせる、キレの良い端正なサウンドです。モニター調というほど無機質ではないものの、ヘッドホンアンプとしての味付けはあまりな音源・ヘッドホンそのもののキャラクターを素直に表現するための道具に徹している印象を受けます。

反面、「PURE DIRECT」という名前のとおり録音状況の良くない音源でも容赦なくそのまま再生してしまうところがあるため、ストリーミング音源などでランダムに聴いている場合は曲ごとの音質の落差を感じてしまうかもしれません。できればヘッドホンと同じように、音源も良質なものを用意して聴き込みたいと思わせる組み合わせでした。

さて、せっかくAVアンプのような多彩なサウンドフィールド・モードを搭載しているからにはそちらも試してみないともったいない…ということで、今回はタブレット端末(Fire HD 10)も用意してみました。こちらをHA-L7AとOTGケーブルで接続、サウンドモードを切り替えながらamazon Prime Videoで映画やライブ動画などを鑑賞してみました。

YAMAHA HA-L7AとFire HD 10を組み合わせ

YAMAHA HA-L7AとFire HD 10を接続した画像
Fire HD 10を組み合わせて映画鑑賞

こちらは音だけの場合と異なり、映像も含めての情報として脳が受け取ろうとするのか、PURE DIRECTではあまりに端正すぎて面白みに欠ける印象がありましたが、「Cinema」や「Music Video」などコンテンツに応じたモードを選択することで「その世界に入り込む感覚」が増すような印象に変化しました。

簡単にいってしまえば”臨場感が増す”というものですが、たとえば劇場公開の映画をあえて野外で観るかのように「Outdoor Live」モードで楽しんだり、大人数がいっぺんにしゃべるシーンを「PURE DIRECT」モードにして誰がなにを言っているのか把握しやすくしたり…と、音を自分で好きな環境に変更できるという楽しみ方は他のヘッドホンアンプではなかなかできないのではないでしょうか。

製品仕様

周波数特性 4Hz-80kHz、-3dB 全高調波歪率 0.003%以下(1kHz、300mW、32Ω)
SN 比 >120dB 入出力端子(音声入力) アナログ 1(RCA×1)、デジタル 2(光×1、同軸×1※1)、USB 1(Type-B)、※1:PCM 2ch のみ、192kHz/24bit まで。
入出力端子(音声出力) ヘッドホン 3(標準 6.3mm×1、バランス 4.4mm×1、XLR 4 極×1)
プリアウト/ラインアウト 2(アナログ L/R[RCA]×1、アナログ XLR 3 極×1)
USB(Type-B) 対応フォーマット PCM※2、DSD※3
※2:384kHz/32bit まで。32bit-float ファイル非対応。※3:11.2MHz まで。
寸法(幅×高さ×奥行) 333W×133H×189D mm(脚部、突起物を含む) 質量 5.3kg

【商品情報】YAMAHA HA-L7A

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YAMAHA HA-L7A

まとめ

ヤマハがヘッドホンリスニングの更なる高みを追求して生み出した初のハイエンドヘッドホンアンプ「HA-L7A」は、
・2つの大型トロイダルトランスを内蔵した唯一無二の個性的なデザイン
・長年のAV機器開発で培った独自技術を発展・応用させた「サウンドフィールド・モード」搭載
・キレの良い端正な「PURE DIRECTモード」と、コンテンツに応じた「サウンドフィールド・モード」で多彩なサウンドが楽しめる

と、まさに多方面で展開するブランドだからこそ作り出すことのできたオリジナリティの高い「ヘッドホンAVアンプ」となっています。

HA-L7Aは本日よりご予約受付開始、発売は11月30日を予定しております。ヘッドホンリスニングだけでなく、映画やライブ配信など、映像コンテンツも幅広く楽しみたいという方には特におすすめですよ。

なお、初回生産数が少ないため、ご予約状況によっては納品までお時間をいただく可能性もございますのでご了承ください。

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