最新のドングルDAC(小型USB DAC)LUXURY&PRECISION W2Ultra、iBasso Audio DC07PRO、LETSHUOER DT03、DUNU-TOPSOUND DTC480 をエンジニア太田タカシさんが比較レビューします。
目次
はじめに
2024年に発売された4機種を比較
LUXURY&PRECISION W2Ultra
iBasso Audio DC07PRO
LETSHUOER DT03
DUNU-TOPSOUND DTC480
ドングルDACを聴き比べた印象
まとめ
みなさんこんにちは、レコーディングエンジニアの太田です。今回は最新ドングルDACの聴き比べレビューです。
本題に入る前にUSB DACとはなにか、導入するメリットを簡単に説明しましょう。USB DACは簡単にいうとPCやスマートフォンのデジタル音声をアナログ音声にに変換するデバイスです。
USB Type-Cからイヤホン端子に変換するものにはサイズに関わらず基本的にDACが入っています。
有線イヤホン比較レビューでも書きましたが私はiPhoneがUSB Type-C対応になり、USB TypeC→イヤホン端子への変換が必要になった際に導入をしました。
持ち運びが楽で気軽に高音質化ができるドングルDACは、iPhoneと接続して音楽鑑賞にもPCと接続して編集作業にも使えるので、バックの中に必ず入れる欠かせないアイテムのひとつになっています。
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数百円の安いものから数万円のものまで価格帯も幅が広く、音質もさまざまなドングルDAC。気になってるけど、どのようなものを選んだら良いか悩んでる方、もう少し良いものを探してる方の一助になれば幸いです!
今回聴き比べるのは最近発売された4機種を聴き比べていきます。
・LUXURY&PRECISION W2Ultra
・iBasso Audio DC07PRO
・LETSHUOER DT03
・DUNU-TOPSOUND DTC480
価格も性能もバラバラな4機種、どのようなサウンドなのか楽しみです。
試聴環境は機種は iPhone 15 pro Max でアプリは Apple Music ロスレスで聴き比べていきます。
イヤホンにはSENNHEISER IE 100 PROを使用します。今回初めて使わせていただいのですが、装着感が良く、特に誇張した帯域を感じないコストパフォーマンスに優れたモニターイヤホンです。スピード感も適度で長時間の使用でも疲れにくい印象で、味付けのないTHE実直なサウンドです。
【商品情報】SENNHEISER IE 100 PRO
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ということでさっそく試聴していきましょう。
最初にW2Ultraです、今回の4機種では一番高価格帯の機種です。上部のクリックノブで簡単に操作ができるのが特徴です。
液晶で現在のボリュームと音源の種類とビットレート、サンプリングレートとイコライザーのタイプがひと目でわかります。普段のレコーディング、ミックス、マスタリング作業で見慣れているので、職業柄こういった表示が確認できるのは安心感があります。
「接続先に困らない真の駆動力を備えた持ち運べるUSB DAC」というコンセプトの通り、どこか余裕のあるサウンドを出してくれるDACです。中低域に厚みがあり高級感のある鳴りを感じます。高域に嫌なピーク感がなく綺麗に伸びている印象で優しいサウンドです。
高域の優しい感じとスピード感が少し鈍い感じがあるのでパンチに欠ける印象を受ける方もいるかもしれませんが、音の押し出し感自体はしっかりあり、優しくリッチなサウンドは長時間のリスニングに向いていると思いました。
EQ操作でもサウンドを簡単に変えられるので曲に合わせて変更していくのもおすすめです。
【商品情報】LUXURY&PRECISION W2Ultra
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次にDC07PROです。今回の4機種では真ん中くらいの価格帯のものですね。こちらも液晶が付いていてひと目で情報が見える機種です。操作性も高く、ワンクリックノブで操作できるシンプルなデザインが好印象です。
「QUAD DACによる優れた解像度と低ノイズ」ということですが、なるほど、音のディティールがハッキリしている納得のサウンドです。
特に中域から中高域がしっかり出ている印象で、逆に低音は出ているのですが若干控えめに感じる印象です。派手さやリッチさの印象は薄いのですがモニターライクな堅実さを感じさせてくれるサウンドです。音数が多い楽曲でもしっかりと歌を聴かせてくれます。
【商品情報】iBasso Audio DC07PRO
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次はDT03です。今回の中ではエントリークラスに位置付けらるモデルでしょうか。
アルミボディで堅牢ですがとにかく軽いです。ドングルDACの構造上PCと接続するとどうしてもぶら下がってしまったり、ちょっと持ちにくくてもスマートフォンと一緒に手に持つ必要があったりしますので、この軽さはとても嬉しいですね。
上記2機種と違い、液晶は付いておらず接続すると緑のLEDが点灯します。ボタン類はボリューム操作のボタン、アンプのゲインの「High / Low」切り替えのスイッチのみの超シンプル設計です。
デザインもシンプルですが、サウンドもシンプルで味付け感をほとんど感じません。独立したクロックの効果か、クリアさが増して自然な広がりと共に素直に一段階音質がアップしている印象です。
劇的変化!というわけではない分、どのような音楽にも対応してくれます。初めてドングルDACを使用したいという方に素直に変化する音質を一度試聴してみてほしいと思えるDACです。
【商品情報】LETSHUOER DT03
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最後にDTC480です、こちらもエントリークラスに位置付けられるモデルです。サイズは非常にコンパクトですが、しっかりした筐体です。独特なデザインも目を惹きますね。
ボリュームのボタンがふたつのみという4機種の中でも一番シンプルな構造となっています。このボリュームは、独立したハードウェア・ボリュームとなっており、スマートフォンの音量と連動しない構造です。
サウンドは少しソリッドな印象です。音の立ち上がり感がしっかりあり、中高域がはっきりしている印象です。少し線が細い印象でもありますが、低域表現が大きめのイヤホンと組み合わせると良いバランスになると思います。
独立ボリュームを搭載しているので、スマートフォンのボリュームを大きくしてDTC480のボリュームを下げて使ってみました。すると心地ち良いドライブ感のある中域のギターの弦の感じがとても気持ち良いサウンドとなり、ロックやUKインディーのような音楽とバッチリの相性に変化します。
【商品情報】DUNU-TOPSOUND DTC480
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今回は価格も性能も異なる新製品4機種を聴き比べました。
サウンドも機能もコンセプトも違うので並列して語るのは難しいのですが、限られた電力と価格との兼ね合いでできることを最大限に引き出す方法や譲れない部分が各ブランドや製品の味になっていて納得感があり、おもしろかったです。
iPhoneからイヤホンジャックがなくなって8年、USB Type-Cに変わって1年が経ちました。Bluetoothワイヤレスイヤホンも便利で良いですが、やはり有線イヤホンの方がハード面・ソフト面の両面でサウンドに部があると感じています。そして、サウンドをデジタルからアナログに変換するDACは切っても切れないデバイスです。
今回の4機種は値段も機能もバラバラでしたが、各ブランドから多様な種類のUSB DACがたくさん発売されていることからも好みのサウンドで音楽を聴きたいというニーズを感じます。そんなDACも「悪くなければいい。」「もっと良いものがいい。」と人によっていろんな考え方があると思いますので、その辺りも参考になれば幸いです。
今回はひとつのイヤホンでの視聴でしたが、イヤホンによって相性があると思います。ぜひ、お気に入りのイヤホンを持って店頭でUSB DACの聴き比べをしてみてください。きっと相性抜群の1台が見つかると思いますよ。